皆さんは、喪服着物のレンタルをした事がありますか?私はこの夏、初めてやってみました。成人式や七五三の着物レンタルは一般的ですが、喪服のレンタルの話はあまり聞きません。葬儀は突然のことなので、需要はそれなりにあると思うのですが、お葬式の流れでレンタルしてしまうからでしょうか?
納得することもあれば、疑問に思う事もあった、そんな私の喪服レンタルについてお知らせします。参考にして下さい。
1.なぜ喪服レンタルをする事になったのか?
私は結婚する時に、相手の実家が地方で、しきたりにこだわりのある家と聞いていたので、冠婚葬祭用の着物はそれなりに揃えました。結婚式に着る「黒留袖」や「色留袖」、子どもが生まれたら着るであろう「訪問着」そして葬儀や告別式で使う「黒喪服」です。
特に黒喪服は、夏でも冬でも着られるように「袷」「単衣」両方作りました。
ところが、この夏「義祖父」が亡くなった時、「葬儀で絽の黒喪服を着る」と親戚から連絡が入ったのです。確かに葬儀は7月ですから「絽」の時期ではありますが…私一人単衣の喪服ではおかしいですか?
義母と相談しましたが、親戚の方々が葬儀で「絽」を着るというのであれば、合わせた方が良いのでしょうという事になりました。コロナ禍のためか、お寺の都合か分かりませんが、葬儀は一週間後。すぐに帰らなくても大丈夫と言われたので、市内の貸衣装店を利用することにしました。
2.レンタルは確かに安い!その値段で即決予約です
貸衣装店のHPに載っているのは、祝儀の着物ばかりです。メインは成人式で着る「振袖」や卒業式の「袴」、次に目立つのが七五三用の「子ども振袖」や「御被布」。「黒留袖」や「訪問着」もありますが、「喪服」は写真がありません。最後の方に「喪服のご用意もできます」と書いてあるだけです。
今は喪主でも洋装の黒喪服を着る方が増えてきたので、仕方ないかも知れませんね。まずは電話で問い合わせをする事にしました。
電話で、「絽の喪服を探している」と伝えると「こちらにもいくつかご用意がございます。」との事。金額も5千円からと言われ「安い!」というのが率直な感想でした。レンタルと言っても、成人式の振袖などは万単位掛かります。良い品物なら数十万円というのも珍しくないですよね。
もちろん着物の種類はまったく違いますが、やはり着物一式のレンタルなので、ここまで安いとは思っていませんでした。喪服なら振袖と違って模様や色がある訳ではないので、一番リーズナブルな5千円の品物を電話で予約してから、急いでショップに行きました。
3.喪服といえども比べると・・・
1時間後に行くと電話で伝えてあったので、すぐに奥の部屋に通されました。部屋には喪服が3枚並んでおいてあります。「お客様からご依頼のありました絽の喪服です」と言われましたが、3枚は雰囲気が大きく違います。
1枚は明らかに色褪せたような黒色。何年もレンタルで使われているから、色落ちしたのかも知れませんね。もう1枚は真新しい感じの黒い喪服です。絽とはいっても、黒色の美しさが際立っています。実際に羽織ってみると、思ったよりも透け感がなくて、高級な雰囲気がありますね。最後の1枚は、それぞれの中間といった感じです。
「お客様がご予約されたのは、こちらです」と、一番色褪せた喪服を示された時は「えっ?一番見劣りのする品だわ」と思いました。1枚だけ見れば、普通の絽の喪服です。透けるのも、絽なら当たり前でしょう。でも、こうして3枚並べられると、その差は歴然としています。
「ちなみに、他の喪服のレンタル代はおいくらですか?」と聞くと、一番良いものが2万円、中間の喪服が1万円とのこと。やはり、品質とお値段は比例するのですね。
他のものと見比べた後に、一番劣化した黒に決める事は出来ませんでした。問題は、2枚のうちのどちらにするか・・・やはりお値段が2倍ちがうのは勿体ないと感じたので、中間の1万円の喪服を借りる事にしました。自分のものを購入するなら、多少高くても良い品を選ぶという事もありますが、1回きりの葬儀なのでほどほどで充分です。でもレンタルって、品質に幅があるんですね。驚きでした。
4.まとめ
実際に葬儀に参列すると、皆さん黒喪服なので、ついつい比べてしまいました。最初は「注文した品以外も一緒に並べるなんて、お店も商魂たくましい」と思いましたが、あの5千円の喪服を着て親戚の中にいたら、自分が恥ずかしい思いをしたかも知れません。グレードアップした喪服を選んで良かったです。
これがネットレンタルだったら、選んだ品物が送られてくるだけでしたので、今回のように途中で着物を変更するという事はなかったと思います。最初の予算とは違いましたが「安いものには理由がある」と勉強になりました。着物は実際に手にとって、納得するのが一番ですね。