夏に着るカジュアルな着物、それが「浴衣(ゆかた)」です。一般の着物のように長襦袢をつけなくても良いし、帯も半幅帯や兵児帯など簡単なものでも大丈夫。軽くて着付けもシンプルなので、若い方にも人気が高いのです。
でも実は「着てみると、意外と暑い」と感じる方も多いでしょう。今回は、少しでも涼しく着るための浴衣について、ご紹介いたします。
1.浴衣の素材をチェックしましょう
着物の素材は「絹(正絹)」「木綿」「麻」「ウール(羊毛)」など昔ならの自然材のものの他、ポリエステルなどの化繊があります。一般的な浴衣の場合は、「木綿」「麻」「ポリエステル」そしてこれらの混合となります。
一番涼しいのは「麻」ですが、これは着物の扱いに慣れていない方にはお勧めできません。麻はすぐにシワになってしまうからです。特に汗をかいた後は、湿気も含むのでお尻などがシワクチャとなってしまいますから、涼しい素材といっても着なれない方は避けた方が無難です。
暑いのはポリエステル等の化繊の浴衣でしょう。汗も吸収しにくいので、一度汗ばむと体に布がまとわりついてしまい、大変です。ただ、化繊の浴衣は「安い」し「自宅で簡単に洗える」「シワが付きにくい」といったことから、人気となっています。特に衣料量販店で仕立てられて売っている浴衣は、ほとんどが化繊と思って下さい。
お勧めは、昔ながらの木綿の浴衣です。汗を吸い取ってくれるので肌ざわりが良いし、化繊よりも涼しく、麻よりもシワにならないです。
100%木綿というものもありますが、混合タイプも少なくありません。「ちょっとでも涼しく」と思われるなら木綿と麻の混合を、「シワが苦手」と心配な方は木綿と化繊の混合をチョイスしてみて下さい。
2.下着も要注意です
もともと浴衣は、湯上りの時に素肌に着たのが始まりといわれています。ただし最近は「お祭り」や「花火大会」など人前で着る機会も多いので、きちんと下着を付けるのがマナーとなってきました。
実はこの下着も暑さに関係しています。一枚でも着ない方が涼しいと思うかも知れませんが、それは汗を一切かかない時の場合です。ちょっとでも汗ばんだ時は、汗を下着が吸収してくれることで、爽快感が違ってきますから、下着は身につけましょう。
この下着は、浴衣専用の肌襦袢がお勧めです。
汗の吸収が良い木綿も良いですが、最近は冷触感機能のあるタイプも出てきました。これなら涼しく又汗対策もできるので、汗ジミも防げて便利です。一度着物屋さんに相談してみて下さい。
3.持ち歩き小物も工夫しましょう
夏の定番「うちわ」も良いですが、「扇子」も素敵です。風が欲しい時、手持ちの雑誌などで仰ぐよりも、サッとご自分の扇子をバッグから出したら…お洒落ですよね。とはいっても扇子にも種類がありますから注意しましょう。
まず、小さい扇。15cmくらいの扇子は、広げて使うことの無い儀礼用の扇です。結婚式などおめでたい席に使う祝儀用の他、葬儀などで用いる不祝儀用の黒扇、お茶席などに結界の意味で使う茶扇子も、この儀礼用の扇に含まれます。基本的には、広げて使うこともありませんから、仰ぐなんてもっての他。小さくて可愛いからといって、儀礼用扇子で涼をとるのはタブーです。
日本舞踊など踊りに使われるのが「舞扇」です。大きいものから小さいものまで様々ですが、女性用は約29cm言われています。作り方は、仰ぐ扇と同じですが、踊りで使うため要(軸になるところ)におもりなど埋め込まれているので、他の扇子に比べて重量感があります。暑さをしのぐために仰ぐには重すぎますし、大きすぎるのでバッグにも入りにくいですから、止めましょう。
涼むために使うのは「夏扇子」とも呼ばれる約21cmくらいのタイプです。浴衣の色に合わせたり、絵柄を涼しげなものにすると楽しいですね。紙で作られたものと布製のものとあります。風を送るに効率の良いのは紙製ですが、エレガントなのは布製となりますから、使い分けるのも良いかも知れません。
4.まとめ
いかがでしたか?実は浴衣を涼しく着こなすコツは「素材」にあります。浴衣はもちろんですが、下着や扇子も何で作られているかで涼しさが変わってくるのです。
ついつい見た目だけで選んでしまうこともありますが、日本の夏の暑さは過酷ですから、涼しく浴衣を着こなす術を覚えて下さいね