大切なお着物も、そのままタンスに入れっぱなしでは、シミやカビが付いて大変な事になってしまいます。着物のメンテナンスで一番オススメなのは「虫干し」です。
着物をタンスから出して、干すというシンプルなものですが、やり方を間違えると却って着物に負担が掛ってしまうことも珍しくありません。
知っているようで知らない、そんな着物の「虫干し」についてお伝えします。
1.虫干しをする時期は?
虫干しに適している時期は、年に3回。梅雨開けの7月末から8月、空気の澄みきった10月から11月、そして極寒の2月です。
その昔は、虫干しもこの年3回行われていたと言われていますが、忙しい日々を過ごしている現代人には、年3回の虫干しは難しいかも知れません。
そんな時は、年に1回でも良いので、虫干しをしてみましょう。一番最適なのは、一年間の中でも一番空気が乾燥している2月で、2~3日お天気の続いた日の10時~15時がオススメです。※朝夕は空中の湿気が多くなるので、避けましょう。
2.虫干しの方法
風通しが良く、直射日光に当たらない場所を選んで着物を干します。直射日光が当たると、変色しやすいので注意が必要なのです。特に青色(青や紺色はもちろん紫色などもNG)は、簡単に色焼けしてしまうので、紫外線には当てないようにしましょう。
長時間干す訳ではないので、着物ハンガーでなくても大丈夫ですが、着物は広げて干します。その時、しっかりシミやカビが着物に付いていないことを確認して下さい。
干し終わったら、ブラシなどで塵や埃を払ってから、衣敷紙の上で綺麗に畳んで、たとう紙に入れて仕舞います。埃が付いたまま着物を畳むと、それが後々シミやカビの原因になりますから、細心の注意を払いましょう。
たとう紙が変色していたら、要注意です。和紙で作られた たとう紙は、着物に大敵な湿気を吸い取る効果がありますが、変色した時はそれ以上の効果は期待できません。たとう紙の色が茶色となり始めたら、早々に新しいものと交換して下さい。
3.着物にトラブルがあるのを発見した時
仕舞う時には無かったシミやカビが、時間が経ったら着物の表面に出てくるのは、珍しい事ではありません。見つけた時は、急いで専門家(呉服店や悉皆屋さん)に相談しましょう。早ければ早いほど、直しやすいものです。
洋服の時は、軽い汚れなら部分洗いをすれば消えることもあるでしょう。でも着物、特に高級素材の正絹は危険です。水滴がついただけでも、その箇所が輪ジミとなってしまいます。拭けば拭くほど、このシミは広がるだけですから、素人が簡単に扱うのは止めましょう。
生地に穴があいていた時は、虫食いの可能性があります。正絹は虫に食われにくいと言われていますが、絶対に虫に食われないという訳ではありません。特にウール(羊毛)などと一緒に保管されている時は、ウールに付いた虫が正絹に移ってくる事も多いのです。ウール素材は、着物だけではありません。
例えば「腰紐」。腰紐はモスリンという素材が人気がありますが、このモスリンもウールの一種です。着物と腰紐など着付け小物を一緒に仕舞っている方は、チェックしてみて下さい。
4.着物の量が多い場合
何枚も着物がある方は、虫干しを2~3日に分けて行うのも良い方法です。その場合は、タンスの引き出しごとに虫干しをしましょう。同じ場所にある着物を混ぜて虫干しすると、虫干し出来なかった着物に付いている湿気や虫、菌が他の着物に移ってしまう危険もあるので避けて下さい。
時間が足らなくて一部しか虫干し出来ない時は、せめて虫干し出来ない引き出しなどを開け放しておくだけでも、それなりの効果はあります。
5.まとめ
如何でしたか?今年は新型コロナウイルス流行で、お出かけを控えていらっしゃる方も多いでしょう。そんな時は、ゆっくり着物のメンテナンスをするのも良いですよね。ゆったりとした気持ちで、次に着物を楽しむ時を待ちましょう。
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