コロナ禍で、葬儀・告別式が減ってきました。代わりに増えているのが「偲ぶ会」や「お別れの会」です。コロナが流行している時は家族葬など近親者のみでお葬式を済ませ、コロナが落ち着いてきた時に改めて故人ゆかりの方々と亡くなった方を偲ぶという形は、これからも続くかも知れません。
「偲ぶ会」や「お別れ会」に何を着て行ったら良いか・・・迷う方も多いですよね。お勧めは「色喪服」です。お世話になった方のご葬儀に出られなかったのなら、最後のご挨拶をきちんとした装いでお見送りしてみませんか?
正式な葬儀ではないからこそ、マナーを守り、故人やご遺族への心配りをしましょう。今回は、不祝儀の着物「色喪服」についてお伝えします。
1.不祝儀の時の女性の着物マナー
着物には「格」が付きものですが、それは不祝儀の場合も同じです。着物だけでなく帯もセットとなっているのでご注意下さい。
まず一番格上の装いは、「黒」に「黒」です。黒喪服という黒無地で五つ紋の入った着物に、黒喪帯を合わせます。葬儀・告別式の時は、喪主や近親者はもちろん会葬者もこの装いとなります。
しかしながら、お通夜は違います。喪主や近親者は正装で弔問客を迎えますが、伺う方は色喪服に黒喪帯か色喪帯を締めるのが一般的です。故人と特に親しかった場合は黒喪服に色喪帯でも良いですが、黒喪帯を使うと「用意周到」「お亡くなりになる準備をしていた」という印象にもなりますから、避けていた方が良いでしょう。
黒の着物と黒の帯の組み合わせは、一番格上の第一礼装となります。次が黒喪服に色喪帯、続いて色喪服に黒喪帯、色喪服と色喪帯といったように、準礼装さらに略礼装へと変化していくのです。ご自分の立場や式の内容によって、服装は変えていかなくてはいけませんから、注意して下さい。
お別れ会は、葬儀とは違いますから「略礼装」の色喪服に黒喪帯か、色喪服と色喪帯で出席することをお勧めします。
2.色喪服とはどういうもの?
色喪服は、条件があえば普通に着ている着物でも充分に対応できます。光沢のない落ち着いた色合いの無地なら大丈夫です。グレーや藍色、紫といった寒色系の他、モスグリーンや茶色などなら安心でしょう。
無地だけでなく地紋が入ったものでも「墨流し」や「さざ波」「雲」「霧」「桧垣」などの目立たない模様ならOKです。基本的に「花柄」は難しいとされています。なんといっても華やかで祝儀の意味合いも強いからです。ただしその中でも「菊」の柄は別。菊は慶事・弔事どちらにも使えます。
強い味方なのは「江戸小紋」です。江戸小紋の中でも格式高い「鮫」「角通し」「行儀」といった柄ならお祝いの席だけでなく、色喪服としても通用します。江戸小紋は、祝儀・不祝儀に関係なく着られますから、1枚持っていると便利です。柄が細かければ細かいほど、格はあがりますが、柄の細かさはお値段にも影響しますから、購入の際は着物屋さんと相談して下さい。
3.聞きなれない言葉「色喪帯」とは・・・
喪服として締める色付きの帯を「色喪帯」もしくは「色共帯(いろともおび)」と言います。こちらは、お手持ちの帯で充分活用できますので、一度ご自分の帯をチェックしておくと良いでしょう。
グレー系の帯なら全体を優しい印象にしてくれるのでお勧めです。他にも青や紫などでも大丈夫。光沢の無い地味な袋帯や名古屋帯となりますが、織りの帯だけでなく染めの帯でも問題ありません。着物の雰囲気に合うものを選びましょう。
4.まとめ
偲ぶ会は正式な葬儀では有りませんから、重くなりすぎないという心配りも必要です。色喪服に合わせた草履やバッグなどは、黒以外のシックなタイプを使うとしっくりします。できれば布製の品が良いですが、なければ艶消しで金具の見えないものを選んで下さい。